病気を治すのは、「治したい」医師と「治りたい」患者さんの共同作業です。いっしょに治していきましょう。

西本クリニックは、ひとりひとりと向き合った漢方医療をおこなうクリニックです。

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2025年1月より公式インスタグラムを開設しました

全人医療としての漢方医学

私は1981年に神戸大学を卒業し、3年間の内科研修の後、兵庫県立尼崎病院内科東洋医学科(兵庫県立東洋医学研究所兼務)に就職しました。

私が入所した1984年当時はプレハブ2階建てのお世辞にも立派とは言えない建物でしたが、その翌年、県立尼崎病院の新築移転にともない作られた新研究所は、広々とした実験室や、生理の実験用のシールドルーム、動物舎まで備えた立派なものになりました。

その新しい研究所で、漢方を現代医療の場で生かそうという志を持った仲間たちと、遅くまで実験を繰り返したり、難病を中心とした入院患者さんの治療に関してディスッションをしたりと、充実した日々を過ごしたものです。
その後、中国の天津市中医学院(中国医学専門の大学)での研修や兵庫県立柏原病院東洋医学科への出張などを含め1992年まで8年間、一貫して兵庫県立東洋医学研究所で漢方の臨床と研究に従事しました。

この8年間の貴重な経験を生かして1996年には現在の西宮市甲子園口に漢方を専門とするクリニックを開業し、現在に至っています。早いもので、私の漢方歴も、もう30年近くになろうとしています。

私の専門である内科領域だけをみても、漢方だけですべての疾患に対応するのは無理な話です。
疾患のターゲットを絞り、問題を解決するという点においては、殆どの局面で漢方は西洋医学の後塵を拝することになります。もちろん、腓腹筋痙攣(こむら返り)に芍薬甘草湯、かぜ症候群に麻黄湯、葛根湯など、あるいは機能性胃腸症に六君子湯など、西洋薬と同等またはそれ以上の力をもった漢方処方もありますが、漢方治療の醍醐味は、「漢方処方を西洋薬と同じレベルで使いこなす」ということだけでは決してないのです。

私の患者さんでAさんという女性がおられます。Aさんはランゲルハンス細胞肉芽腫症に対する外科的手術のため汎下垂体機能低下症となり、以後、副腎皮質H、抗利尿H、甲状腺H、成長H、女性H、黄体Hなど様々なホルモン補充療法を受けておられます。
内分泌学的には充分な治療を受けておられ、検査データも問題のない範囲でしたが、当院に来られた主訴は、「体がしんどくて仕事に行けない」というものでした。
私は内科医であり、かつ、漢方専門医であるので、患者さんを西洋医学的な目で見ると同時に、脈診、舌診、腹診といった漢方独特の診察方法を用いて、患者さんの病態の漢方的な分析をおこないます。
Aさんの場合は、体内の水分の分布異常をきたしている病態、漢方的には「水毒」であろうと判断し、「五苓散」という処方を飲んでいただいたところ、当初の訴えが軽減し、ほぼフルタイムでの仕事が可能になりました。
西洋医学的に充分な治療をおこなっていたはずの患者さんに、漢方的な治療を追加することにより、彼女のQOLが劇的に改善したのです。

漢方には「標治」「本治」という言葉があります。「標治」とは患者さんが現在訴えている症状(表に出ている症状)を治療するということで、「本治」とは、今は表に出ていない患者さんの体質傾向を治療する、という意味です。
例えば、月経痛を訴えてこられた患者さんを診察すると、脈やお腹に力がなく舌もやや色が白くてやや大きな、いわゆる「虚証」タイプの方のため、月経痛を改善するだけでなく胃腸機能を改善したり抵抗力をつける生薬を配合した処方を飲んでいただいたところ、半年くらいして、「体重が増えてきた」「風邪を引かなくなった」と喜ばれることもありますし、逆に、脈やお腹の緊張が強くて舌の色が赤いような患者さんに、緊張を和らげる生薬が配合された処方をしたところ、月経痛が改善しただけでなく、少しのことではイライラしなくなり、ご主人や子供さんとの関係がよくなった、と思わぬ効果があったとおっしゃる事なども、まれなケースではありません。
西洋医学的な診断をおこない、治療指針に従ったスタンダードな治療をするだけでなく、「漢方力」をフルに発揮して、患者さんの「本治」を心がけていると、患者さんの人生が変わってくることを目のあたりにすることがままあるのです。
開業して間もないころ、新潮社から「あなたを幸せにする漢方」という本を上梓しました。 一般の患者さん向けに、「漢方治療とは、漢方の考え方とはどのようなものか」をわかりやすく書いた本なのですが、当時は「あなたを幸せにする、なんて、ちょっと言いすぎかな」、と思わないでもなかったのですが、自分自身が様々な患者さんと長くお付き合いをさせていただいた結果として、「漢方は人を幸せにすることができる」と自信を持って言えるようになりました。

そんな漢方ですが、漢方薬の大事な原料である漢方生薬は、そのほとんどを中国からの輸入に頼っている自然資源です。
昨今、中国の経済的な発展による人件費の増大、地球温暖化による環境の変化、さらには乱獲などにより、漢方生薬の枯渇、輸入価格の高騰が大きな問題になっています。特に保険医療においては、生薬価格が保険薬価を上回るという、いわゆる逆ザヤ現象が広がっており、せっかく根付いてきた漢方保険診療がこのままでは事実上継続できないという危機に瀕しています。「病気を治す」だけでなく「人が幸せになる」医療のために、漢方生薬資源の保護と漢方保険診療に対する国の理解を求めたいと強く願っています。

医療法人社団岐黄会
西本クリニック理事長
西本 隆

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